大阪の個人事業主・中小企業経営の皆様へ
助成金の活用をサポートします

お急ぎの方はお電話で

06-6532-2500

月〜金
9:00〜17:00

パートの女性

深刻な社会問題は「見えない失業」

2021-03-10

NPO法人POSSE代表である今野晴貴氏は、「見えない失業」がますます深刻な社会問題に
なっていると説いている。

「見えない失業」とは、統計上「失業」として現れないものの、実質的に失業に近い状態に
あることを表し、「実質的失業」や「隠れ休業」とも呼ばれている。

実質的に失業に近いというのは、雇用関係は維持されているものの、ほとんど仕事をさせて
もらえず、収入が激減しているような状態だ。
契約上の労働時間や勤務日数が曖昧なシフト制勤務の非正規労働者がこうした「実質的失業」
状態に陥りやすい。

今野晴貴氏は、寄せられた相談事例を見てみよう。

[ 30代女性 看護師 パート ]
・通常は、週40時間以上働いていた。
・4月半ばから休業を命じられ、勤務先から呼び出された日だけ出勤。
・その結果、週2日・午前中のみの勤務となった。
・4月についてはシフトが作成されていたため6割の休業手当が出。
・5月からは休業手当が一切支払われなくなった。
・院長に、休業手当を払ってもらわないと困ると伝えた拒否された。
・シフト削減による生活への影響は大きかった。

[ 40代女性 製造業 アルバイト ]
・通常は、週4、5日働いていた。
・緊急事態宣言が出てからシフトが減らされ数週間は全く働けず。
・その後も週2日しか働けていない。
・社長は雇用調整助成金の制度を知っていたが「時間がかかる」として申請拒否。
・収入が減っているため、食費や水光熱費を節約してなんとか生活している。

このようにシフト制勤務の場合、いとも簡単に労働時間を削減されてしまい、家計に
大きな影響が出てしまう。
それにもかかわらず、統計上「失業者」にも「休業者」にもカウントされず、課題
として認識されにくい。

「見えない失業」の実態を浮かび上がらせたのが、野村総合研究所によるアンケート調査だ。
※この調査に関する記事は[コチラ]をクリック!

 

◆調査内容(3月1日公表)

調査期間:2021年2月8日~2月12日
対象地域:全国
年  齢:20〜59歳
職  種:パート・アルバイト
人  数:就業者64,943人

・「シフトが減少している」人・・・29.0%
・「減少している」の中で「5割以上減少している」人・・・45.2%
・「が5割以上減少している」人でパート・アルバイト女性・・・13.1%
・パート・アルバイト女性で「休業手当を受け取っていない」・・・74.7%

こうした状況は、パート・アルバイト男性の場合もほとんど変わらない。

パート・アルバイトのうち、「シフトが5割以上減少」かつ「休業手当を受け取っていない」
人を「実質的失業者」と定義すると、2021年2月時点で、全国の「実質的失業者」は、
女性で103.1万人、男性で43.4万人にのぼるものと推計される。

また、昨年12月時点の同じ調査では、「実質的失業者」となっているパート・アルバイト
女性の推計数は90.0万人であったから、約2か月の間に1割強、「実質的失業者」が増加
したということになる。

なお、この調査はパート・アルバイトだけを対象としているが、他の雇用形態でも
「実質的失業」の状態にある者は相当数存在すると思われ、実際の「実質的失業者」はさらに
多いものと推測され、「完全失業者」197万人、「休業者」244万人に匹敵する規模の
「実質的失業」が存在しているのだ。

現在、女性の完全失業率は2.6%だが、実質的失業者も含めると6%まで上がる。
(データはいずれも労働力調査(基本集計)2021年1月分)

この様な状況について、「国(厚労省)の怠慢が原因」だとと思う方もいるかもしれないが、
政府はこの間相当な対策を講じている。

まず、企業が支払った休業手当を補填する雇用調整助成金について、緊急事態宣言下に
おいては一定の場合に大企業に対する助成率が最大100%とした特例措置を行っている。
(厚労省の資料:緊急事態宣言等対応特例について

そして、シフト制で働く非正規労働者にも政策効果が及ぶように、いわゆる短時間休業の
場合にも雇用調整助成金の対象になることや、シフト制の場合にも直近月のシフト等に
基づいて同助成金の申請ができることをアピールし、活用の促進を図っている。
(厚労省の資料:雇用調整助成金は短時間休業にもご活用いただけます

こうした対応がなされたにもかかわらず、その効果がほとんど出ていないことが、上記の
調査結果から明らかになってしまった。
利用できるにもかかわらず、自社の労働者を守るための制度を活用しない企業に対しては
批判の声も強まっている。

「見えない失業」問題が深刻化している背景には、「シフト制」に関する法的問題もあると
推察される。

会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、会社は、労働者の最低限の生活の保障を
図るため、少なくとも平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならない。
(労働基準法26条)

非正規雇用であっても、労働契約書や労働条件通知書に週当たりの勤務日数や労働時間が
定められているような場合には「休業」に当たることが明白であるため、休業手当の支払いを
求めることができる。

一方で、シフト制のように、週当たりの労働時間が明確でない場合に休業手当の支払義務が
生じるか否かについては、法律上、明確な決まりがない。

シフトが確定した後に一方的にキャンセルされた場合には当然に「休業」に当たると考え
られるが、シフトが決まる前の場合に休業手当の支払義務が生じるか否かは不明確だからだ。

実際、雇用調整助成金を利用できるにもかかわらず、シフトが確定していない期間については
「休業」に当たらないとして休業手当の支払いを拒む企業は多い。

このことが、コロナの影響を強く受けていながら補償を受けることができない「実質的失業
者」が大規模に発生してしまった要因となっていると考えられる。

Category:ブログ,雇用関連

助成金に関する
ご相談・お問い合わせ

HOME

助成金活用支援

おすすめの助成金

生産要件で受給額増額

組織概要

NEWS

ブログ

ご相談・お問い合わせ

受給できる助成金の無料診断

©Organization of Human Resource Development.