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「在籍出向」コロナ下で拡大 国も後押し
2021-03-30
コロナウイルスの影響に苦しむ企業で、雇用維持のため従業員を一時的に他社に出向させる「在籍出向」が広がっている。
余剰人員を人手不足の他業種などに融通する形で人件費を抑制し、コロナウイルス収束後の需要回復を待つ狙い。
国も助成制度を創設し、コロナ禍の雇用維持を後押しする。
不況時に大手企業が行う従業員の在籍出向は、グループ内や関連企業を受け皿とする事実上のリストラ策であることが少なくない。
だが日航など国内航空大手は今回、需要回復を前提とした雇用維持の手法として他業種への在籍出向を活用する。
こうした動きはコロナ禍で苦境が続く観光バスや旅行大手でも相次ぎ、大分県や鹿児島県など自治体が受け入れ先となるケースもある。
製造業でも、三菱重工や川崎重工がトヨタ車体の工場に数百人規模を出向させるなど、企業が雇用維持で連携している。
厚生労働省は2月に「産業雇用安定助成金」を新設し、教育訓練や備品整備などの経費として出向元と出向先に1人当たり10万円を助成。
出向する従業員賃金も1日12,000円を上限に、中小企業に最大90%、大企業にも最大75%を1月から補助し「企業からの問い合わせも多い」(同省労働移動支援室)という。
ただ、従業員は出向元から基本給は保障されるものの、その他の手当がなくなり所得が減る懸念もある。
一方、出向先の企業にも、情報や技術の流出を防ぎつつ他社の人材に活躍してもらうノウハウの構築など課題が少なくない。
日本総合研究所の山田久主席研究員は「コロナで社会構造が変わる中、企業も従業員も柔軟に働くメリットは大きい。
次の不測の事態に備えるためにも、国や企業は制度をさらに整え、充実させる必要がある」と話す。
[西日本新聞 からの引用 ]
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