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福祉施設の労災32%増 厚労省調査で他産業より突出
2021-05-19
厚生労働省が公表した「2020年労働災害発生状況」で、コロナウイルス罹患による福祉施設従事者の労災が1,600件発生したことが分かった。
全産業の26.5%を占めている。新型コロナ罹患を含む福祉施設の労災は、前年比3,222人(32.1%)増の13,2677人。
他産業が増減率を抑える中、福祉施設だけが突出して増えている。
全産業の死傷災害(従事者が死亡または4日以上休業した災害)は、前年比5,545人(4.4%)増の13万1156人。
従来の労災は前年比496人(0.4%)減の125,1155人となったが、コロナ罹患による労災が6,041人あり、全体では増加した。
新型コロナ罹患による死傷災害を産業別で見ると、最も多いのは、病院など医療保健業の2,961人(全体の49%)で、福祉施設は2番目に多い。
両産業(保健衛生業)で全産業の75%以上を占めており、医療保健業だけでなく、福祉施設の感染リスクの高さも改めて浮き彫りになった。
従事者が業務に起因して新型コロナに罹患した場合の対応について厚労省は、4月26日付労働基準局長通知で、積極的に労災請求を勧奨するよう要請しており、罹患施設では、労働者死傷病報告書の提出など同通知を踏まえた適切な対応が求められている。
一方、新型コロナ罹患以外の福祉施設の死傷災害発生数は、前年比1,622人(18.6%)増の11,667人。
事故の型別で見ると、移乗介護など「動作の反動・無理な動作による負傷」が4,199人(全体の36%)で最も多く
・「転倒」 ・・・・・・・・・3,892人(33.4%)
・「墜落・転落」・・・・・・・ 755人(6.5%)
・「交通事故」・・・・・・・・ 503人(4・3%)と続く。
利用者をベッドから車いすに移乗させる際に腰を痛めたり、入浴介護中に転倒したりする事故が多い。
死者は7人で、従事者1,000人当たりの死傷者数は3.09人。年齢別では、60歳以上が全体の30.6%を占めている。
福祉施設の労災件数はこの5年間で4,9866人(60.2%)、前年比で3,222人(32.1%)も増加している。
労災が多かった製造業(前年比4.5%減)、飲食店(3.7%減)、建設業(1.4%減)が業界全体の努力でそれぞれ死傷者数を減らしている。
陸上貨物運送業(2.8%増)や小売業(4.6%増)も伸び率を5%以下に抑える中、福祉施設だけが突出して増えている。
厚労省は18年に策定した第13次労働災害防止計画で福祉施設を重点業種に指定し、「23年度までに死傷者数を5%以上減少させる」という目標を立てているが、福祉施設での増加に歯止めがかからず、目標達成は困難な状況になっている。
[ 福祉新聞 からの引用 ]
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