
未然にトラブルを防ぐ、シフト制雇用管理の勘所
2022-01-28
再びコロナウイルス感染症が勢いを増して人員計画、要員確保の目処が立ちずらい現在、シフト制の雇用関係ですと労働日、労働時間が労働者の希望と大きく異なり、労働紛争に発展してしまう恐れもあります。シフト制雇用特有の押さえておくべきポイントを雇用契約締結時と実際に就労させる際の2つの観点からお伝えしていきます。
労働契約締結時 〜書面で明示すべき3つのポイント〜
始業・終業時刻
労働契約締結時点で既に始業及び終業時刻確定している日については明示しなければなりません。(労働基準法 第 15 条第1項、労働基準法施行規則第5条第1項第2号等、第3項、第4項 柱書本文)
その際労働契約通知書等に単に「シフトによる」と記載するのでは不十分です。
労働日ごとの始業及び終業時刻を明記するか、原則的な始業及び終業時刻を記載した上で労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を合わせて交付する等の対応が必要です。
休日
”労働基準法では、使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも 1 回又は4 週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないこととされて います (労働基準法第 35 条)ので、最低でもこうした内容を満たすような考え方 を明示する必要があります。なお、4週間を通じて4日以 上の休日とする場 合には、4週間の起算日を就業規則等において明らかにしておくことが必要 です(労働基準法施行規則第 12 条の2第2 項)
シフトの作成、変更ルール
作成に当たっては、
-
シフトの作成時に、事前に労働者の意見を聞くこと
-
シフトの通知期限 例:毎月○日
-
シフトの通知方法 例:電子メール等で通知
変更に当たっては、
- 一旦確定したシフトの労働日、労働時間をシフト期間開始前に変更する場 合に、使用者や労働者が申出を行う場合の期限や手続
- シフト期間開始後、確定していた労働日、労働時間をキャンセル、変更す る場合の期限や手続
ただし一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者 と労働者双方の合意が必要である点に留意してください。
作成変更のルールに加えて
労働者の希望に応じて以下の内容についてあらかじめ労働者と合意することも考えられます。
- 一定の期間中に労働日が設定される最大の日数、時間数、時間帯 例:毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する
- 一定の期間中の目安となる労働日数、労働時間数 例:1か月○日程度勤務/1週間あたり平均○時間勤務
- これらに併せて、一定の期間において最低限労働する日数、時間数などを 定めることも考えられます。 例:1か月○日以上勤務/少なくとも毎週月曜日はシフトに入る
実際に就労させる際の注意点
労働時間、休憩
- 労働時間の上限は原則1日8時間、1週40時間であり、この上限を超えて働かせるには36 協定が必要です(労基法第32条、第36条)。
- 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、勤務時間の途中で与えなければなりません(労基法第34条第1項)。
◆管理者なら知らんとアカン・雇用のルール◆ [第1回 労働時間・休憩時間の巻]
年次有給休暇
- 所定労働日数、労働時間数に応じて、労働者には法定の日数の年次有給休暇が発生します (労基法第39条第3項、労基則第24条の3)。使用者は、原則として労働者の請求する時季に年 次有給休暇を取得させなければなりません(労基法第39条第5項)。「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取扱いは認められません。
要員計画、調整、運用が難しくなっている今も上記のポイントはしっかり押さえて円滑な事業運営を進めていきましょう。
参考:いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項@厚生労働省(なお一部抜粋)pdfファイル
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