
<令和4年4月より順次施行>改正育児・介護休業法とは
2022-03-16
昨年2021年6月に改正育児・介護休業法が公布されてから新年度を迎えようとしています。この法律は2022年4月1日を初めとして3段階に分けて施行されていきます。今回はこの施行期日に合わせて義務化される事項や新たに追加、変更される産後パパ育休や育児休暇制度について紹介していきます。
令和4年4月1日から施行
妊娠・出産の申し出をした労働者(本人・配偶者)に対する個別の周知・意向確認措置
具体的な周知・意向確認事項としては以下となります。新たに創設される産後パパ育休については令和4年10月1日から)
- 育児休業・産後パパ育休に関する制度
- 育児休業・産後パパ育休の申し出先
- 育児休業給付に関すること
- 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
周知方法についてもオンラインを含む面談や面交付、労働者が望む場合FAXや電子メールも可能と定められています。
育児休業を取得しやすくするための雇用環境整備
雇用整備環境とは以下の措置いずれか1つ以上を行うこととなっています。(新たに創設される産後パパ育休については令和4年10月1日から)
- 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
- 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
- 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休の育休取得事例の収集・提供
- 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
有期雇用労働者の育児・介護取得要件の緩和に伴う就業規則の変更
現行の制度では育児休業・介護休業を取るための要件には「引き続き雇用された期間が1年以上」となっていますがこれが撤廃され育児休業では
- 1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかではない。
介護休業については
- 介護休業開始予定日から93日経過日から6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかではない。
のみが休業取得の要件となります。これに伴い就業規則から撤廃された要件を削除することが必要です。
こちらも参考にして社内準備に漏れがないか確認してください。厚生労働省pdf 改正育児・介護休業法 対応はお済みですか?
令和4年10月1日から施行
上記図表の出典:厚生労働省pdf25ページ 説明資料「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~」
産後パパ育休の創設(通常の育休制度とは別枠)
- 対象期間・取得可能日数:子の出生後8週間以内ならば4週間まで取得可能
- 申出期限:原則休業の2週間前まで(雇用環境の整備などについて、法を上回る取組を労使協定で定めている場合は、 1か月前までとできる)
- 分割取得:分割して2回取得可能。ただし初回取得時にまとめて申し出ることを求めることができる
- 育休中の就業:労使協定を締結している場合に限り労働者が同意している範囲で就業可能
育児休業制度の変更点
- 分割して2回取得可能(それぞれに1ヶ月前までの申出期限が適用される)
- 育休開始日を柔軟化
- 特別な事情がある場合に再取得可能
育児休業、出生時育児休業(産後パパ育休)期間における給付や社会保険料の免除
- 育児休業給付
育児休業(出生時育児休業を含む)を取得し、受給資格を満たしていれば、原則として休業開始時の賃金の67%(180日経過後は 50%)の育児休業給付を受けることができます。
受給資格:育児休業開始日前2年間に、被保険者期間(※)が通算して12か月以上ある場合
- 育児休業期間中の社会保険料の免除
下記の一定の要件を満たしていれば、育児休業期間(出生時育児休業を含む)における各月の月 給・賞与に係る社会保険料が被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除されます。
- その月の末日が育児休業期間中である場合
- 令和4年10月以降は
- ①に加えて、同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合、 新たに保険料免除の対象とし、
- ただし、賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に 限り免除することとしました。
出典:厚生労働省pdf 説明資料「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~」
ただし休業中の就業させる場合は、その日数によっては給付や社会保険料の免除が受けられなくなることについて労働者と共有して労使協定を締結することが必要となります。
これらの制度改正により下記のように出生後8ヶ月(産休、産後パパ育休)、8ヶ月〜1歳(育児休業)、1歳以降の育児休業期間(保育所に入園できない等による育児休業期間)の3つの期間において下記のような勤務体制を可能にすることが目的となります。
上記図表の出典:厚生労働省pdf36ページ 説明資料「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~」
これらの新制度、制度改正に即した体制を整え就業規則整備、労使協定の締結をすることが必要となります。厚生労働省より中小企業のための育児・介護支援プラン導入支援事業や両立支援に取り組む事業主への助成金支援も行われています。またハローワークでは育児休業中の代替要員の確保支援が行われています。当機構でもご相談承っていますのでお気軽にご連絡ください。
令和5年4月1日から施行
育児休業等の取得状況を年1回公表(常時雇用する労働者が1000人以上の事業主のみ)
公表すべき事柄は以下の1、2のいずれかの割合と当該割合の名称、算定期間です。自社ホームページや厚生労働省が運営している「両立支援のひろば」等インターネットに公開し、一般の方が確認できるようにしましょう。
- 育児休業の取得割合
- 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
具体的な計算方法についてはこちらで確認することが可能です。厚生労働省pdf リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」
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