「改装休業中は自己都合退職で」はNG。焼肉チェーンの事例に学ぶ
全国チェーンの焼肉レストラン「焼肉きんぐ」津上浜店(津市)でアルバイトをしていた学生ら32人が、改装工事による休業を理由に自己都合退職を迫られたことに反発し、労働組合を結成しました。再オープン時の希望者全員の再雇用や、金銭的な補償を勝ち取ったことを、三重大生2人が10月6日、津市内で記者会見を開き明らかにしています。
何が起きたのか
報道によると、店舗の建て替えを理由に、会社側はアルバイトに対して他店舗への移籍を打診し、移籍が難しい場合は6月30日付での自己都合退職届の提出を求めていました。これに対し、三重大学の学生ら32〜33人が7月に「肉より権利やろ労働組合」を結成(三重県労働組合総連合が支援)。雇用継続や自己都合退職の撤回を求めて会社側と交渉を重ねました。
9月16日の2回目の団体交渉で、会社側は方針を転換。金銭的な解決に加え、自己都合ではなく「会社都合」による離職として扱うこと、店舗再開後の再雇用、他店舗へ移籍した人も津上浜店へ復帰できることを約束し、対応に非があったとして謝罪しました。

何が問題だったのか
改装工事による臨時休業は、基本的に「使用者(会社)の都合」による休業にあたります。この場合、労働基準法26条により、休業期間中は平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払う義務が会社側に生じるのが原則です。
ところが「自己都合退職」という形にしてしまうと、会社都合の休業に伴う負担(休業手当の支払いや、再雇用の約束)を実質的に避けられてしまいます。さらに、自己都合退職か会社都合退職かは、労働者側にとっても重要な違いです。自己都合退職の場合、失業給付(失業保険)の受給開始が給付制限によって数か月後ろ倒しになるなど、不利益が生じます。
中小・零細企業にとっての教訓
アルバイトやパートであっても、労働基準法上は立派な「労働者」です。「辞めてもらう」ことを安易に自己都合扱いにしてしまうと、今回のように表面化し、労働組合の結成や団体交渉に発展するリスクがあります。今はSNS等を通じて労働者側の知識も広がっており、「知らないだろうから大丈夫」という前提は通用しにくい時代になっています。
改装や一時休業が必要な場合は、休業手当の支払いや雇用継続の選択肢を、最初からきちんと用意しておくことが、結果的に会社を守ることにつながります。
「一時休業の際の対応に自信がない」という場合は、トラブルになる前に、お気軽にご相談ください。
