「有給休暇は本人任せ」はNG。年5日の取得、会社に義務があります
「有給休暇は、本人が申請してきたら与えるもの」と思っていませんか。2019年4月の法改正以降、年10日以上の有給休暇が付与される従業員については、会社側が時季を指定して、年5日は確実に取得させる義務があります。本人任せにしたまま放置していると、知らないうちに法令違反になっている可能性があります。
対象になるのは、正社員だけではありません
対象になるのは「年10日以上の有給休暇が付与される人」全員です。正社員はもちろん、パート・アルバイトでも、勤続年数等の条件で付与日数が10日以上になれば対象に含まれます。管理監督者も対象です。逆に、所定労働日数が少なく付与日数が10日未満の人は対象外です。
本人が自分から取得していれば、重ねて指定する必要はない
この義務は「年5日を必ず会社が指定しなければならない」という意味ではありません。本人が自主的に申請して、すでに年5日以上取得していれば、会社があらためて時季を指定する必要はありません。計画年休制度で消化した日数も、5日のカウントに含めることができます。不足している分だけを、会社側が指定すればよい仕組みです。
注意したいポイント
本人の意思を妨げてはいけない
すでに5日以上取得している人に、会社が重ねて時季指定することはできません。
就業規則への記載が必要
時季指定を行う場合は、対象者の範囲や指定方法を就業規則に記載しておく必要があります。
違反すると罰則の可能性
義務を果たしていない場合、対象者1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります(労基法120条)。
取得率は過去最高の66.9%。ただし業種差も大きい
厚生労働省の「就労条件総合調査」(令和7年調査、2025年12月公表)によると、年次有給休暇の取得率は66.9%で、昭和59年以降の過去最高を更新しました。一方で、業種別に見ると「宿泊業、飲食サービス業」は50.7%と全産業中もっとも低く、業種によってはまだ取得が進んでいないのが実情です。

取得促進には、助成金が使える場合も
有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業向けに、「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」があります。上限額は150万円(賃上げを目標に加えると最大720万円)、補助率は原則3/4(条件により4/5)です。ただし令和8年度分は2026年11月30日が申請期限のため、これから環境整備や就業規則の変更に着手する場合、間に合わない可能性があります。次回の受付が始まり次第(例年の傾向からは来年4月以降と見込まれます)、あらためてこのサイトでご案内しますので、お見逃しなく。
年5日の取得状況や就業規則の記載に不安がある方は、一度確認されることをおすすめします。お気軽にご相談ください。
