「管理職だから残業代は要らない」は誤解かもしれません。名ばかり管理職に要注意
「店長に昇格させたから、もう残業代は払わなくていい」。小さな会社で、時々耳にする考え方です。ところが、肩書きを「店長」や「主任」「課長」にしただけでは、残業代の支払いは免除されません。
残業代が要らないのは「管理監督者」だけ
労働基準法で、残業代(時間外・休日の割増賃金)が要らないとされているのは、「管理監督者」に当たる人だけです。そして、管理監督者かどうかは、役職の名前ではなく、実際の働き方で判断されます。主に次の3つがそろっているかが見られます。
経営者と一体的な立場で、人の採用や評価、店の運営方針などに大きな権限を持っているか
出勤・退勤の時間を、自分の判断で決められるか(シフトに縛られていないか)
その立場にふさわしい給与をもらっているか(部下と大差ない、残業代がなくなって逆に下がった、では不十分)
例えば、アルバイトの採用くらいしか権限がなく、シフトに入って長時間働き、給与も部下とほとんど変わらない。こうした「店長」は、管理監督者とは認められにくいのが実情です。

有名な「マクドナルド事件」
この問題が広く知られるきっかけになったのが、2008年1月28日の東京地裁判決(日本マクドナルド事件)です。店長は管理監督者に当たらないと判断され、会社には約755万円の未払い残業代などの支払いが命じられました。店長にアルバイトの採用以上の人事権がなかったこと、月100時間を超える残業をしていて勤務時間に裁量があったとは言えないこと、下の役職との年収差がわずかだったことなどが理由とされています。
大企業の話に聞こえるかもしれませんが、「肩書きを付けて残業代を払わない」という構図は、小さな会社の方がむしろ起こりがちです。未払い残業代は、さかのぼって最大3年分を請求される可能性があります。
管理監督者でも、必要なものがあります
本当に管理監督者に当たる人でも、すべてが免除されるわけではありません。見落としがちなのが次の2つです。
- 深夜の割増:夜22時から翌朝5時までの労働には、管理監督者でも25%以上の深夜割増が必要です。
- 有給休暇:管理監督者にも有給休暇はあります。年10日以上付与される人には、年5日を取得させる義務もあります(参考:「有給休暇は本人任せ」はNG。年5日の取得、会社に義務があります)。
また、健康管理のために、管理監督者についても会社が労働時間を把握しておく必要があります。
年末に向けて忙しくなると、店長や責任者に仕事が集中しがちです。「うちの店長は、本当に管理監督者と言えるだろうか」と気になった方は、肩書きや給与の決め方を一度見直してみませんか。大阪の当機構で、就業規則や賃金制度の見直しをお手伝いします。
